今、住宅を考える上で外す事の出来ない「健康住宅」。では「健康住宅」とは一体何なのでしょうか?大きく3項目に分けてみました。皆さんも一緒に勉強しましょう!

「知」の1 なぜ今、健康住宅が話題なのか?

シックハウス症候群を知る

人の化学物質の許容量は、人それぞれ個人差はあるものの、化学物質等がその人の限界に達している時に、シックハウス症候群になりやすいと考えられています。
人に影響を与える化学物質は、建築に関わる物だけではなく、殺虫剤や花粉等もその一つです。つまり、それらの総和がシックハウス症候群を引き起こす原因とされているのです。

有害化学物質の発生要因

有機リン系殺虫剤
石油暖房器具 一酸化炭素 二酸化炭素
断熱材 ホルムアルデヒド
木製複合フローリング ホルムアルデヒド
接着剤 トルエン キシレン ホルムアルデヒド 可塑剤
塗料 トルエン キシレン
家具類 ホルムアルデヒド
合板、パーティクルボード、MDF ホルムアルデヒド
ビニールクロス 可塑剤 ホルムアルデヒド
木材保存料、防蟻剤 有機リン系殺虫剤 ピレスロイド系殺虫剤

建材に関して言えば、上の表がシックハウス症候群や化学物質過敏症を引き起こす原因となる「揮発性有機化合物(VOC)」と呼ばれているものです。
日本の住宅は、「狭くて気密性が向上している」、「家庭内での殺虫剤等を頻繁に使用している」、「空気環境等の規制がない」等の理由から、VOCが空気中に浮遊しやすい環境にあるのが現状です。

家族を守るべき「家」が、家族の健康を害する原因となってしまっては本末転倒です。シックハウス症候群や化学物質過敏症は抗体力の弱いお年寄りや子供が発症しやすいのです。
超高齢化社会でのお年寄りの増加や、将来を担う子供達の健康を守れないのは辛いことですね。

20世紀は「化学物質の時代」と呼ばれるほど、その研究と進歩が著しい世紀でした。今世紀は、前世紀から生まれた弊害と向き合う世紀なのかもしれません。

 

「知」の2 健康住宅とはどんな住宅なのか?

「健康住宅」と呼ばれる家のポイント

1.結露・カビの生じにくい住宅
2.居室内空気環境が良好な住宅
3.高齢者対応型住宅
4.夏季の高湿度、冬期の過乾燥を生じない住宅
5.ダニの繁殖頻度の低い住宅
6.床下環境が良好な住宅
7.音環境と共存する住宅
8.家屋内温熱環境において、全室快適で温度差が少なく、かつ省エネルギーの住宅

(NPO法人 健康住宅普及協会)

ポイント3の具体事例

写真 写真

左の写真のトイレのドアですが、通常トイレのドア開口は800mm弱なのですが、このドア開口は約1200mm程あります。
通常は、Aの引戸(巾800mm弱)を右側にスライドさせ使用しますが、車椅子等に乗ったままでも入れるように、Bの扉も開くようになっています。
AとBの両扉を開くと、約1200mmの巾になり、車椅子でも余裕を持って入ることができるようになります。

何でもないことでも、お年寄りなどにとっては負担になるようなことが家の中には多くあります。
そうした方の目線に立って初めて気づくことも、ちょっとした工夫とアイディアで解消することができるのです。

ポイント4と8の具体事例

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左の写真は、ガス式の床暖房です。銀色のマットの中には細い管が何本も走っていて、その管の中を温水が流れる仕組みになっているため、電気式床暖房に比べて過乾燥を防ぎます。
また、温水の温かさが身体にも優しい暖かさを作ってくれます。

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左の写真は、ガス式の浴室暖房乾燥機です。浴室に入る際、その気温差が大きいと、心臓などに大きな負担をかけてしまいます。
浴室と脱衣室にこのような乾燥暖房機を付けることで、気温差を無くし、身体への負担を軽減してくれます。

こちらのお宅では、LDK等にもガスヒートポンプエアコン(GHP)を取り付けています。
通常のエアコンですと、スイッチを入れてから温風が出てくるまで多少時間がかかりますが、GHPは、スイッチを入れてすぐに温風が吹き出てきます。

ガス料金にも優遇措置があることがあり、電気の使用も始動の時ぐらいですので、省電にもなります。
暖房器具の工夫次第で、ポイント3、4、7を取り入れることも可能なのです。

ポイント2と6と7の具体事例

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左の写真で基礎と土台に黒く塗ってあるのは、炭をアルコールで溶かした「チャコガード」というものです。
ご存知のように、炭には湿気を吸収する力がりますが、この「チャコガード」を基礎と土台に塗ることで腐食防止、床下の防湿、シロアリなどの害虫から大切な土台を守ることもできます。

材料は、炭の粉末とVOCを含まない特殊なアルコール溶液ですので、VOCの発散はありません。
それどころか、空気中のVOC等を吸収してキレイな空気に分解して放出してくれます。
炭の機能を最大限に引き出したといえる、自然素材の優れものです。

写真

左の写真は、2階の床仕上がり構造です。石膏ボード等も使い、通常よりも24mm厚い仕上がりで、防音、断熱効果を高めています。
通常であれば「梁」に渡した「根太」の上にコンパネを1枚捨張りして、床材を張るのですが、こちらのお宅の場合、根太の上にまず石膏ボードを敷き、その上に厚さ12mmのコンパネを2枚張り、4段目に床材を敷くこととしました。

こうすることで、1階にいる時に気になる2階の足音や声が吸収され、1階に伝わりにくくなる防音効果が発揮されます。さらに、熱を逃がしにくくなり、断熱効果も向上します。
プライベートを重視した二世帯住宅には最適の方法と言えるでしょう。

 

「知」の3 健康住宅のメリットは何なのか?

健康住宅を考えた新築、リフォームをすることでのメリットは数多くあります。その中でも特に生活に密着した効果をご紹介します。

1.化学物質を分解、除去してくれる
2.タバコの臭いや生活上の悪臭を除去できる
3.カビや結露が生じにくく、柱や梁の構造体(フレーム)の耐久年数が延びる
4.ハウスダストを抑制し、壁や天井に汚れが付きにくくなる
5.シロアリ、ダニ等の害虫の進入を防止できる
6.バリアフリーで身体への負担が少ない
7.二世帯住宅での生活音を気にせず、世代間のプライベートを重視できる
8.省エネルギーにつながる

私たちは、健康住宅に「こうしなければいけない」という正解は無いと考えています。
もちろん、VOC放出量等の基準値をクリアしなければならないのは当然ですが、快適さ、使い易さなどは、お客様一人一人の理想やアイディアが一番大切なのです。

「家を建てる」ということは、将来を見据えた安心や安全、そして家族の笑顔を守ることでもあります。
一歩外に出れば雲ひとつ無い青空を、気持ちが良い、と心から感じられる我が家を、創っていきたいですね。 

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